un_yamada


取材後、東大生相手複雑系科学の池上高志先生との講義セッション&ワークショップが行われた。


東大生相手であってもフラットを貫くうんさん。
いつものように先頭に立ち、踊り、共に遊び、問いかけ、
いつのまにか参加者のカラダの奥あるいは背後から悩みや笑顔を引き出し、いつものように人と人をつなげていく。


正しいからつながるのではない。
心に響くからつながるのである。


最大の特徴は、鋭く核心をつくコトバ。
明確なコトバで伝えられるクリエーターは多くはない中、彼女は、
カラダの実感からうまれる説得力あるコトバを使う。

そのコトバは、ダンスするように別空間から突如やってくる。
動的に瞬間的に生成し軽やかでしなやかな耐性をもつ。
断片的と思いきや、ある瞬間に一気に整列し一直線で相手に伝達する。

彼女は、本当にコトバを愛している。

「言葉は記憶や経験から生成し、ダンスは瞬間的に無意識からわき上がってくる性質をもつもの」と山田は語る。
その両方にこだわりその不安定な空間に飛び込み、
何度も何度もいったりきたりしながら大事に楽しんできた彼女だからこそ確信できたこと。

そのことは、2月16日に上演されたソロ公演「DICTEE」、3月8〜11日に上演されたカンパニーCo.山田うんの公演「季節のない街」で実証された。




DICTEEでは、作品中ずっと瞬間的に意識に生成する断片的なコトバをまるで踊るように発したと思えば
次には空間をかけまわり未来を探るように四肢を伸縮させ床を転がる。
自身が最も問題意識としているコトバとカラダの本質をつきとめようする姿。
単にダンス作品以上の人間 山田うんを感じた。

対して、季節のない街では山本周五郎の原作をとことん抽象化し本質を突き詰めた演出に対し、
出演したダンサーは、カラダをハードに酷使し見事にカラフルで饒舌な闇と光を表現していた。
個人の表現力に、あそこまでゆだねられた演出に対し、自分の内面を深く掘り下げ自己表現できたダンサー達は素晴らしかったし、
何よりも、彼らの無意識が浮かび上がってくる時をじっと待ち続けることができた山田うんの人間力に関心をもった。
山田とダンサーズの、しなやかで強いつながり。今後のカンパニーの発展と成熟を期待できる内容だった。


有限でも無言でも即実験即回答、革新的なトライ&エラーの繰り返し。
アクティブでギリギリのバランス感覚と真っ白い太陽のような突き抜けた存在感。
これが、山田うんの最大の魅力である。