KENTARO

3、[KENATRO!!流] 作品のつくりかた


ー作品つくるときは、音楽が先?踊りが先?

グループの時は完全に音楽が先。ソロの時は、自分のやりたいことに合わせて音楽をつくります。
最近、踊りでこうしたい!っていうのがすごく少ないので、今は、曲を単純に普段からつくりためておいて、その中から、この曲この踊りに合うかな?ってものを選んでアレンジしています。
今は、全く意味のないものも作りたいですね。深くないものとか。
単純に踊ってるだけでもいいんですけど、ずっと魂込めて踊っていれば物語性がなくても何かしら伝わって来る気がする。
物語をつくるっていうのは意外と流れがあるので簡単で、流れを無視してただベタに踊るっていうほうが、飽きさせないという意味ですごく難しいんですね。

ーギミックや小技なしで?

そうですね。BGMのない映画みたいな風景と会話で見せる感触のような。
本当に内容だけで伝える事。実験的とまではいわないですけどやってみたいなあと思っています。

ーソロとグループでは、作品のつくり方が違いますか?

グループの場合は振り付けがほとんど。とにかく、振りをつくってメンバーに渡す作業。かっちり決めてますね。ソロの場合は、振りは一カ月前ぐらいからつくります。バーーっと半分ぐらい振りつくって、半分ぐらいは即興というのが多いです。ただ、構成は緻密です。
メンバーの出してきた動きの素材を振り付けで使いたいとはあまり思わなくて。コンテンポラリーだと振付けの引用は、よくあるみたいですけど。僕は自分の振りをダンサーに渡したいんですよね。変わっていくとは思いますけど。

ーでも、観てると、決め決めの踊りの割りには、それぞれが生きてると思うけど。

キャスティングがすべてですね。その人が普段やってないところをどう出してくるか!っていうところが見てみたいわけです。存在が面白い人であれば、あえてその裏の叙情性を狙うとか、しゃべらない子をしゃべらせて面白くするとか。カンパニーのためというよりは、その人たちが将来表現者になって活かせるであろうところを引き出せればなと。

ーダンス作品を見てるんだけども、凄くリアルな日常を見てるようなドキっとした瞬間が結構ある。かといって、きっちりHIPHOPの基礎も出来ているので、音楽性がある。空間は音楽性があるんだけど、たまに日常の深いものが見えてきます。ライブであり、その人の中身を覗き見るような、、そのあたりは意識してる?

無機質なものはあまり好きではないので、内面をどう出すかにはこだわっています。

ーメッセージはしっかりあるのに、見せ方はクールで独特。熱すぎず無機質すぎず。不思議な空気感を感じます。

少したんたんとやりたいというのがあって。あまり青春ぽく(笑)しすぎてしまうと、ちょっと意図とずれてしまうというか、僕自身が、そういうのみると引いてしまう。寸前でやめてほしいんです。それが出てるんでしょうね。暗くなりすぎず明るくなりすぎず、心の雰囲気っていうんですかね。ただ未だに青臭い作品と言われますが。