「葉山の魅力」
ー 最後にお伺いしますが、、既に30年以上も住み続けている、このエリアのもつ魅力って何でしょうね?
光と空気だと思います。それは方位と地形によるのでしょうけれど。アブズリから長者ケ崎まで多様な変化を見せる、西を向いた海岸線。夕日と富士山が望める。海と山に挟まれた地形のせいで空気の代謝が良く、光が、澄んだクリアーからオレンジのフィルターをかけたように変化する。この光は風土に独特の明るさを与えていて、日本の他のエリアにはなななか見いだせない。天皇家が、さんざん調べて選んだエリアだから間違いないでしょう。葉山を出なきゃいけないとしたら迷います。沖縄かそれともハワイかな。バリ?
あとこの環境に引き寄せられた「人」の積み重ねによる気質です。多様な人種が同居している。もちろん、東京のほうが雑多だけど、サーファー、アーティスト、漁師、外国人、ハイクラスの人までが、海の家にプライベートに集まって、間に子供がいて、そして互いに話が弾む。そのような光景はユニークです。
ー 確かに(この夏体験した)森戸の盆踊りは、人種のるつぼ。日本人も外国人も老若男女入り乱れてあの幸福なビートを楽しんでいました。何故か、ぎずぎすしてないんですよね。当たり前のように、共存して踊っている。葉山の自然環境と文化、歴史がそうさせるんですかねえ
潮の満ち引きと光が、人の間のわだかまりもどこかに流しているのかな。
そういえば。去年ね、こういう小冊子をつくったんですよ。(…と、葉山のライフスタイルを写真やイラスト等で紹介する、A7サイズ約20Pのシンプルなデザインのミニブックを取り出してきた。タイトルは「海感(かいかん)」。※このページの最上段の写真参照)。
ー 洒落てますね。まさに、さきほどおっしゃっていた 多様な感じが出ています
海のそばにいることを表現したかった。これは芸術祭で作ったから、アート色が強いけれど、もっとジャンルに広げ、海のそばにいる感覚を広く共有して、このエリアの魅力とそれぞれの大切にしていること等を伝えたかったんです。今迄、夢中に前進してきたけど、今はこれまでの活動は何だったのかな?この地域の歴史の中でどう位置づけられるのかな?って俯瞰しつつ、次の作業を探っています。来年還暦、順調です。
OASIS @flickr
朝山さん、長時間の取材、ありがとうございました!!
( …と、この取材の後、朝山さんがこだわって所持されている2台のロードバイク談義となりました。なんと、静岡方面まで100kmを超える長距離ライドや峠越えなどにも挑んでしまうと聞き、そのバイタリティに驚かされました… [余] )
==================================================================================
朝山正和 masakazu asayama
海の家OASIS代表。 葉山芸術祭実行委員。
葉山に30年余り生息。OASISが、葉山芸術祭がここまで深い存在になるとは、当初はぜーんぜーん理解していませんでした。葉山の海、山。海の家組合やご近所のみなさん。路地向いの猫「ミューミュー」やペンキ塗りの平屋の家。皆さん本当にありがとう。 振り返れば、当時の自分の、向こう見ずにも突進する「若さ」にも今は「感謝!」と感慨深くしています。東京芸術大學美術学部建築科卒。
[海の家OASIS 公式HP] http://www.oasis-jahnodebeach.jp/
==================================================================================