– 最後に被災地へのメッセージをお願いします。-
今回地震を受けた場所が東北というエリアであったことは、非常に辛く、言葉を失います。しかし同時に日本にとって希望の光を持っていると思っています。なぜなら東北は日本人の原点が今でも残っているエリアだからです。人と自然が共生している地域だったし、自分が自分がというよりは、ちょっと引いて自分のことは後回しにしてでも人の事を最優先するような文化が残っているところに起きた。このことは、世界から日本が認められ日本の信頼が篤くなったのはこの東北の人たちのおかげなんですよね。
これは地域の文化とかコミュニティとか長年の試練のうえでの暮らしを丁寧になさっていたことが大きいんだと思うんですね。
私のひとつ願いは、折角世界に名前が知れ渡りましたので、この機会に新しいエネルギーや新しい暮らし方としてブランドになるようなことになればどうかなと強く願っております。
知人のクエートからの留学生が語っていました。クエートは震災直後すぐに500億円もの原油を支援したわけですが、その話題をすると彼は言いました。「国に石油があるんだから当たり前じゃないか。頼まれなくても助けるのが友達だよ。それより、僕はあの悲惨な状況でも尊厳ももって生きる被災地東北の人々の姿を見て感動し、日本に留学していることを誇りに思っているよ!!」
つまり、助けようとして支援した側が助けられたということなんですよね。
日本、そして我々には、その尊厳と文化を世界に伝える必要があります。
いや、すでに東北の方々の真摯な姿勢が、メディアを通じて海外に伝わっているから伝えられたからこそ、今でも多くのメッセージや支援を今でも受け取り続けているに違いありません。そういう意味では、お金以外でも、そうしたメッセージも被災地にフィードバックし共有する仕組みと場が必要かもしれないですね。
日本のダイアログでいつも思うのは、参加者が終わって出てきたときに、皆「ありがとうございました!」というわけです。たかだか1時間しか時間をともにしていないアテンドに対し、サービスを受けお金を払う立場の方がお礼をいう国民は、世界でも稀でしょう。日本人は本当に捨てたもんじゃないと思っています。
同時にダイアログ前後は、それだけ劇的に自分自身を変化させているわけなんですよね。だから人は経験をすると変われるんですね。いつでも。どこでも。
ダイアログは一度に数名しか体験できないけれども、今日体験した10名が家に帰り友達10人に話し、その人たちそれぞれが別の10名に話す。これを続けるとやがて日本中の人々に伝わると信じています。ですからあきらめることなく暗闇を体験した一人一人が変化することによって社会が変わっていくってことをこの12年ダイアログを開催した実感です。まだまだ被災地はいろんな問題が一気に押し寄せているだろうけれども、それでも一人一人が協力しあきらめない事で、必ずや後世から見ると3.11があったから、より豊かな人間の可能性を引きだすきっかけでそして世界が良くなったんだと。この破壊の中から創造していくこと日本から世界に大切なことを発信し続けていかねばなりません。
DIDだけでなく他のプロジェクトとも連携しながら前進すれば、もっともっとという消費社会の次の社会に移行できて良かったね!という結果になると確信しています。
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==DIDのくらやみを体験されていない方、是非、一度は体験してみてください!先入観や価値ががぐらっと揺らぎ、とても新鮮な経験ができますよ ==
◆ダイアローグ・イン・ザ・ダーク 公式HP
http://www.dialoginthedark.com
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金井真介 Shinsuke KANAI
ソーシャルマーケティングプロデューサー / ダイアログ・イン・ザ・ダーク代表
http://www.dialoginthedark.com/ shin@dialoginthedark.com
1962年生。コンサルティングファームフェロー等を経て1999年からダイアログ・イン・ザ-ダークの日本開催を主宰。1993年、ウィーン発「Dialog in the Dark(DID)」を紹介した新聞記事に衝撃的に出会う。そのこれまでにはない全く新しいコンセプトに驚き、すぐさま発案者ハイネッケ氏に手紙を書いたことから現在に至る。その後、様々な人や働きかけた結果、99年秋、東京ビックサイトで日本への紹介を実現。その後、神戸、仙台、東京などで短期開催。口コミですでに日本での参加者は、
7万5千人を超える。2004年(社)日本イベント産業振興協会主催日本イベント大賞特別賞・社会貢献賞受賞並びに2005年グッドデザインユニバーサル賞受賞 2008年 目を使わないで視覚障害者と協働開発したダイアログタオルでグッドデザイン賞受賞。ダイアログで視覚障者がいの新しい雇用創出を実現すると共に人が対等にコミュニケーションできるソーシャルプラットフォームとしての常設を願っている。その常設準備のために東京外苑前で2009年3月より長期開催実験中。2010年4月からはまっくらな中で企業研修を開始。現在、常設場所、スポンサーを求めて日夜走り回っている。